釣りにゃんだろう

猫のように気まぐれに 独断と偏見に満ちた釣り情報をお届け

初めてまともに釣りをする。

最後に釣りをしてから、48時間以上がたったので、夕飯の後に釣りに行くことにした。

 

「今夜は対岸にラフティングで行って釣りをするから、一緒に行かないか」
と、ルームメートは誘ってくる。
対岸に行くにはどうしても、水の中に入ったり、崖を登らなくてはならない。せっかく足の傷が治りはじめたところなので、とても行く気にはなれない。
しかしながら、「釣れた時に写真が…」とルームメートは諦めが悪い。

そこで僕は、「こっちの岸に居るから、130センチが釣れたら、船で運んでくればいい」と提案した。f:id:nyandaro:20180803105643j:plain
僕が釣りをするポイントは、彼が行きたがっている岩場の、まさにちょうど対岸なので、すぐに来られるのだし、そう悪い話ではないだろう。
ガイドどルームメートが、必死で慌ててボートを漕いで魚を運んでくるのを想像すると、ちょっと面白くなってくる。
そして、かなりの確率で、これは現実になりそうではないか。

 

 

ハンサム君は、明日にはここを離れるので、一人で最後の釣りに下流に出かけていった。二日目に良い魚を釣った場所に行くのだろう。最後ともなると、さすがに気合いが入っているのが、その後姿から感じられる。

他のメンバーは、焚き火の周りで酒を飲んでいるだけで、釣りには行かないらしい。
「124センチより大きいのが釣れたたら、来年ここに来るお金は全部おごってやる」
と、飲み仲間に言われて見送られながら、ビーサンで僕は釣りに出かけていった。

 

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ポイントは、まさに彼が数日前に124センチを釣った場所であり、ルームメートがメーターオーバーを2本釣った場所でもある。
これだけ釣れたのだから、もう居ないと考えるか、それとも、また新しい魚が入っていると考えるか。
遠くまで行くのはめんどくさいし、実績があって地形を把握している場所で集中して釣りをしたいので、後者の考えをとることにした。

岩に流れが当たった淀みに、暗くなるとタイメンが来るらしく、今までのヒットはそこに集中していた。
ビーサンで岸から投げても、そのスポットには届くので、まさに今の僕にはぴったりの場所だ。

 

 

釣りを始めて少し経つと、ガイドとルームメートは、二人でせこせことボートを漕ぎ対岸に渡り、対岸の岩崖の上から釣りを始めた。
時折暗闇の中で彼らのヘッドライトが点灯するので、「釣れたのかなぁ」と様子をうかがいつつ、とにかく僕は実績のある場所にルアーを流し続ける。

やはりこうして一人で釣りをするというのは、いいものだ。ここに来てからは、目の前にドボンドボンと、仕掛けが投げ込まれるようなことばかりだったから。
ここに来て初めてまともに釣りをした気分だ。

集中して釣りをしていると、あっという間に時間が過ぎて、完全に太陽は沈み、月明かりの中で釣りをすることになる。

 

 

しかし、かなり粘ってみたのだが、一度のアタリもない。
対岸でも一度慌ただしくライトの光が動きまわったが、こっちに漕いで来なかったということは、釣れていないのだろう。
もう0時30分を過ぎたので、今日も諦めて部屋に戻ることにした。月明かりに照らされ、トボトボと異国の大地を歩く寂しさといったら。

ほどなくして、ルームメートも帰ってきたが、ダメだったと言う。
隣の部屋のハンサム君も静かに帰ってきたので、何も起きなかったのだろう。
ついに全員ボウズだ。もうシーズンも終わりなのだろうか、と思いたくもなってくる。