釣りにゃんだろう

猫のように気まぐれに 独断と偏見に満ちた釣り情報をお届け

そして誰も釣らなくなった。

釣りをする気はなくても、早朝には目が覚めてしまう。
屋根に雨が打ち付ける音が、一人っきりの部屋の中に響いている。
夜中から降り続けている気がしたので、これは帰ってきて正解だったのかもしれないな、と思いながら、また眠りにつく。f:id:nyandaro:20180801114904j:plain

しばらくたって、また目を覚ましてみると、まだまだ雨音が響いている。
誰も釣りに行く気配もないし、誰も部屋から外に出る気配もない。
それにしても、これで三日連続で雨が降っているわけで、もう雨季といった様相だ。この国の雨季は、たしか8月あたりだった気がするので、やはりなんだかおかしな気象には違いない。

お昼過ぎになり、ようやく雨が上り、太陽と青空が見えてきたので、部屋から出てみる。
同じタイミングで、他の部屋のみなさんも、よろよろと部屋から出てきた。
「ボチボチ酒を飲み始めようか~」といった雰囲気である。

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そんな所に、よれよれになったガイドを先頭に、昨日も下流でキャンプをした3人が帰ってきた。
相当、雨に降られたのだろうか、晴れた空の下でも、まだ着るものやバッグは濡れている。
「もうアカンわ~」という感じで、ガイドはその場で寝転び、ハンサム君は何も言わずに、部屋に入って寝てしまった。

 

 

ただ一人だけご機嫌だったのは、ルームメートで、「夜と朝で3本釣ったぞ~、一番大きいのは130センチだ」と言う。
「ただ、雨が降っていたし、君が居なかったので、写真があんまり良くない」
と残念そうにしながら、さっそく濡れたベストからカメラを取りだし、写真を見せてくる。

そのカメラは、実は僕の予備の予備のカメラであり、彼が釣り二日目くらいに自分のカメラを壊してしまったので、貸してあげているのだった。
それは、かなり古い防水のコンパクトカメラで、暗い中で写真を撮るのは、ちょっとコツがいるし、難しかったに違いない。

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やはり写真はあまりちゃんと撮れていなかったが、魚が大きいことだけは充分伝わってきた。
ルームメートはまあまあ満足しているらしく、昨日よりはずっと機嫌が良さそうだ。

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酒を飲んで寝て、ご飯食べて寝て、ダラダラしているうちに、もう夜だ。
そして、今日の夕方も誰も釣りに行く気配はなかった。

ドカンドカンとデカイ魚が釣れている絶好の川が目の前にあるのに、ついに今日は一人もこのキャンプから釣りに行くことはなかった。
疲れきった人、もう満足している人、そもそも釣りをしているところを一度も見たことがない人!?、諦めかけた人(それはオレだけか)、怪我をした人(それもオレだけか)、そんな人々が、今夜はイビキを響かせながら、夜はふけていく。

セコセコと働きセコセコと釣りをする、日本の人達には、我々のこの心のゆとりを少し分けてあげたいくらいだ。