釣りにゃんだろう

猫のように気まぐれに 独断と偏見に満ちた釣り情報をお届け

記録更新。

翌朝、目を覚ましてみても、誰も目を覚ます気配はない。

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8時過ぎにルームメイトが目を覚まして、朝食をとることにした。
こんな風に、食事の時間は、人によってバラバラで、めちゃくちゃなのだから、その支度をするおばさん達は大変だろう。

 

多少、釣りの話をカタコト英語でしてから、今日の予定を決めることになる。
ここにはガイドがいるが、基本的にはつきっきりで一緒に釣りに行くことはほとんどなく、各々好きに釣りに行って良いようだ。

 

好きに釣りに行くと行っても、魚が巨大だったり、写真を撮って欲しかったりするので、一人ではなく誰かと釣りに行くことになる。
その移動のために、ボートや馬が必要なら、その準備や回収をガイドがしてくれるし、気合いが入っている日には、釣りに着いてくることもあるようだ。
つきっきりで、あれこれ指示をされて釣りをするよりも、僕はこの方がずっと気楽で良い気がする。

 

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今日は、ちょっとこの周辺を試したあと、歩いて上流に向かい小物のフライフィッシングをしたいと、ルームメイトは言う。

さっそくキャンプ地の周りを試してみるものの、何の反応もなく、「タイメンは夕方しか釣れない」とルームメイトは言い出し、30分もやらずに終了。

 

僕は、小物釣りには興味がないのだが、その後の釣りにも、着いていくことにした。

森の中を数キロ進んだ辺りで、ルームメイトがフライを岸際に落とすと、グレーリングやレノックが無限に釣れる。
しかも、結構サイズが良いものばかりだ。

 

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僕は、小さいタイメンでも良いから釣れないかと、ルアーを投げるものの、何の反応もない。
じゃあ、ちょっとは魚を釣っておこうかと、10グラムほどのスピナーを投げると、グレーリングやレノックがガンガンと飛び付いてくる。
それでも、ヘビーな竿なので、何の面白みもなく、すぐに飽きてしまう。

 

「ちょっとやってみないか」と、ルームメイトが親切にフライロッドを貸してくれるので、今度はそれで釣ってみる。
グレーリングはジャンプしまくり、レノックも結構大きいし、これはなかなか楽しい。
しかし、こんな魚を釣りに来たのではないのだし、あまりに簡単に釣れてしまうので、これも数匹で飽きてしまった。

 

この時、ふと思ったのは、外道という考え方は、もしかしたら日本独特のものなのだろうか、ということだ。
こうして、他の国の人と釣りをしていると、このようにレノック釣りをわざわざしたり、タイメンを狙っていて大きなレノックが釣れても、素直に喜んで楽しんでいるようだ。

一方で日本の釣り人なら、わざわざこんな遠くまで来て、ウグイのような口をした魚を狙いたくはないし、釣れてしまったら、いくら大きくても「これじゃないんだなぁ」と思うはずだ。

日本人は、外道が釣れても、笑っていたりするので、外国の人には喜んでいると勘違いされることもあるかもしれないが、内心はだいぶ頭にきているということも少なくない。

今後のためには、こういった釣りに対する考え方や態度の違いを、ガイドやサービスを提供する側に、教えた方が良いのではないか。

 

 

そんなことを考えながら、倒木が流れに刺さっているポイントを、ルアーで丁寧に責めていると、魚が掛かった。
小さいレノックだな、と雑にリールのハンドルを廻して魚を寄せてくると、水中でパーマークのある細長い魚体が光った。

僕は、丁寧にバレないように魚を寄せて、態度を急激に変えた。

 

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記録もののタイメンだ。
パーマークのある個体は、今まで見たことがない。
間違いなく、最小記録だ。

こんなに小さな魚でも、何匹外道を釣ったよりも、機嫌が良くなってしまう。
この気持ちを、どう伝えたら良いのだろうか、また少し悩みながら、僕は魚を流れの中に戻していた。