釣りにゃんだろう

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レノック 残念な魚

レノック(コクチマス)という魚が、モンゴルの川に居る。
ロシアや中国や朝鮮半島にも生息していて、ユーラシア大陸の東側に広く分布しているらしい。

茶色いボディに黒い斑点を持ち、ちょっとブラウントラウトっぽいような、タイメンっぽいような模様をしている。鰭は白く縁取られていて、そこはちょっとイワナっぽくもある。

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フライにもルアーにも、反応はすこぶる良好で、流れの中で飛びついてくる。
そして、なかなかパワーもあり、釣り味も良好。
大きさも、大きいと60センチを越えてきたりして、なかなか釣り応えがある。

ここまでの説明だけなら、格好の釣りのターゲットだと思われるかもしれない。
しかし、この魚を釣ると、だいたいの日本人は、なんとも残念な気持ちになってしまう。

 

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このレノックという魚。
身体は立派なトラウトなのに、口の形が何故かウグイのようなのだ。
開高健もこの魚を釣って、「口だけが理解できない」というような事を言っていた気がするが、本当に不思議なものである。

良い魚なのに、この口を見た途端に、我々日本人は、「外道感」を半端なく感じることになってしまう。

これは、日頃からウグイを快く思っていないため、同じような口の形をしたレノックにも、似たような気持ちになってしまうという、差別と偏見に満ちた感情である。

それに、口だけでなく、レノックの存在自体が、少しウグイに似ているのも、この「外道感」を助長させている。
始めからレノックを本命にすることは、食料調達が目的の時以外は、まずないことであり、この魚が釣れてしまうのは、タイメンを狙っている時である。
大きなレノックが掛かると、小さなタイメンがきたのかと、ぬか喜びさせられることも少なくない。
この「ぬか喜びさせる魚」という点でも、ウグイに近い存在だと言えそうだ。

 

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しかし、この残念な気持ちを、他の国の人はあまり感じないらしい。
「やったね!大きいね!」
「良いトラウトだね!」
「写真を撮ってあげるよ!」
などと言って、盛り上げてきたりもする。

その度に僕は、「いやぁ、日本人は、あんまり嬉しくないんだ」と言いかけるのだけれど、今書いてきたような理由を、上手く説明する自信が全くないので、「ハハハ」と、ただ笑って誤魔化し、手早く逃がすことにしている。

そろそろ作り笑いを浮かべるのにも疲れてきたので、いい加減逃げずに「残念な気持ち」を説明することに、チャレンジしてみるべきだろうか。
果たして、この気持ちを分かってもらえるのだろうか。